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なぜ、上司・管理職から支持されない人事評価制度は、ダメなのか?
前回、評価される側である
「従業員から支持される中小企業向け人事評価制度」について
説明しました。
今回は、評価する側である上司・管理職からの視点で考えましょう。
「評価される」という行為は、
巷にあふれている一般的な人事評価制度では、
人材にとってあまり気分の良くないことですが、
実は、評価する側の上司・管理職にとっても辛いのです。
理由はお分かりですよね。
上司・管理職とすれば
・なぜ、この「評価項目」で評価するのか?
・このようなあいまいな「評価基準」で部下を評価したくない
・部下から評価結果の理由を求められたらどうしよう
などの想いがあり、
何といっても、一般的な評価制度では、
「自信をもって評価できない」のです。
では、評価する側の上司・管理職にとって
理想的な人事評価制度とは、どのような人事評価制度なのか?
それは、部下の評価という行為に負担がないことです。
なぜ、部下の評価に負担が生ずるのか?
その一番の理由は、
「評価基準」があいまいであったり、無かったりするからです。
誰が評価しても
どの上司・管理職が評価しても、
いや、評価される側の部下が自己評価したとしても
評価結果にブレない、
明確な「評価基準」があれば、
上司・管理職にとって、
部下を評価することの罪悪感がありません。
むしろ、評価の根拠・理由が明確なので、
部下に改善を促す理由を説明できるので、
「評価基準」が明確な人事評価制度は、
評価する側の上司・管理職にとって歓迎すべきです。
多くのヒトは、
他人から悪く思われたくないですし、恨まれたくありません。
いくら仕事とは言え
明確な根拠・理由もなく、
部下に対して悪い評価をしたくありません。
その結果、巷にあふれている一般的な人事評価制度では、
評価結果が、真ん中あたりに集中してしまうのです。
正に
「良い」「普通」「悪い」でしたら、
「普通」に集中してしまうのです。
そのことに対して、
多くの人事評価制度コンサルタントは、
「とても良い」「良い」「悪い」「とても悪い」と
4段階にして、真ん中の評価ができないようよう、
「評価基準」を設定するのですが、
そもそも、このような「評価基準」を設定する人事評価制度こそ、
「評価基準」があいまいな人事評価制度なのです。
あなたの会社ではどうでしょうか?
既に人事評価制度導入済み企業の場合、
「評価基準」は、明確ですか?
評価に迷うことはありませんか?
もし、そのような人事評価制度であれば、
なるべく早く、その人事評価制度を改善しましょう。
また、未だ、人事評価制度導入前の場合、
必ず、なぜ、その「評価項目」が必要であるのか
明確な根拠があり、
誰が評価してもブレない「評価基準」である
人事評価制度を導入してください。
あいまいな「評価基準」の人事評価制度を導入して
苦しむのはあなた自身であり、
部下も納得しないのです。
そして、何よりも、そのような人事評価制度の場合、
部下の育成につながりませんし、
会社も良くなりません。
非常に興味深いのは、
一般的な人事評価制度では、
評価対象である人材が全員、高評価を獲得したところで
人材育成にならないのです。
会社が良くならないのです。
利益が増えないのです。
儲からないのです。
それでは、何のために人事評価制度を導入したのか。
私は、30年弱の人事制度指導歴がありますが、
もう一つの顔として
ISO主任審査員の活動をしています。
今までに2名から数万人規模の企業に
1700回以上の審査を担当してきました。
その審査の際、ISO9001(品質マネジメントシステム)では、
「品質目標」を確認するのですが、
その「品質目標」に問題があることが多いのです。
人事評価制度と同様、
その「品質目標」が100%達成したところで、
会社がよくならない目標なのです。
そのような「品質目標」では、
達成に向けて活動すること自体意味ありませんし、
目標として間違っているのです。
それと同じことが、
一般的な人事評価制度では、多いのです。
あなたの会社では、
評価される側の人材が、
人事評価制度で高評価を獲得することで、
人材育成につながる・人材の価値が向上する。
会社が良くなる。
利益が増える。
儲かる。 を実現してください。
そのためには、
上司・管理職から支持される中小企業向け人事評価制度が必要ですね。
その、「上司・管理職から支持される」について、
もう一つ別の説明を加えておきます。
上司・管理職にから支持される人事評価制度として、
シンプルであること。
私は、膨大な数の
複雑すぎる人事評価制度をみてきました。
複雑すぎて、
運用できなかったり、
運用するために非常に苦労したり・・・。
これでは、人事評価制度を運用する側の
上司・管理職にとって、
迷惑な仕組み となります。
いいですか!
中小企業の理想的な人事評価制度は、
シンプルであることが必要です。
上司・管理職にとって、
運用負担が非常に少ないことが必要なのです。
その人事評価制度を運用するために
評価者訓練を半日や一日、
受講しなくてはならない人事評価制度は、
シンプルとは言えないのです。
シンプルな人事評価制度であれば、
評価者訓練などは不要なのです。
全社員説明会で、
「評価項目」「評価基準」について、
60分も説明すれば良いのです。
前回は、
「従業員から支持される中小企業向け人事評価制度」
について説明しましたが、
今回の
「上司・管理職から支持される中小企業向け人事評価制度」
と、同じなのでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。「人事制度(人事評価制度・賃金制度)セミナー・勉強会」の講師を190回以上務め、社長・経営層の延べ受講生1900名以上。
自らの約10名の従業員を雇用する組織の経営者。
商業出版書籍
「建設業の人手不足に効く!人事評価制度・賃金制度・公共工事受注マニュアル」(同友館)
「人事評価制度が50分で理解でき、1日で完成する本 (忙しい社長のためのビジネス絵本) 」(同友館)
「今日作って明日から使う中小企業のためのカンタンすぎる人事評価制度」(中央経済社)
「従業員のための人事評価・社長のための人材育成」(同友館)
「人手不足脱却のための組織改革」(経営書院)
「『プロセスリストラ』を活用した真の残業削減・生産性向上・人材育成実践の手法」(日本法令)等