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なぜ、従業員から支持されない人事評価制度は、ダメなのか?
今回のテーマは、
どのような人事評価制度であれば、
従業員から支持されるのか? です。
人事制度指導歴30年弱の専門家として、
「当社の幹部に人事評価制度の説明をしていただきたい」と
社長から請われて訪問し、説明する際の
幹部社員たちからの
「怪訝そうな視線」が
なんとももどかしい。
私としては、
「あなたたちのためにあなたたちが得をする仕組みについて説明しに来たのですよ」との
想いなのですが、最初は伝わらないのです。
ただ、幹部社員たちからすると仕方ないのです。
突然、初対面の専門家が押しかけてきて
「あなたたちの会社の人事評価制度として・・・」
なんて、説きだすのですから。
そもそも、幹部社員からすると
「このひと、どこのだれ?」なのです。
私も駆け出しの頃は、
これらの視線について、あまり良い気はしなかったのですが、
今では、ある意味、楽しんでいます。
なぜ、幹部社員たちからの
「怪訝そうな視線」が心地よいのか?
それは、
私があることを伝えると
その「怪訝そうな視線」が、
パァーっと変わるからです。
どのようなことを伝えるとそうなるのか?
私は、人事評価制度について説明するように社長から依頼されて、
その場にいるのですから
まずは、人事評価制度とは、
どのような目的で導入し、
どのような仕組みにするのかを説明していくのです。
ただ、そもそも幹部社員たちは、
いや、幹部社員に限らず
殆んどの人材は、
人事評価制度について、
ネガティブな印象を持っており、
特に中途入社してきた人材などは、
以前、勤務していた企業の人事評価制度に対して
不満を持っていた経験や、
納得できない評価をされた経験があり、
どうしても人事評価制度に賛同できないのです。
ただ、この、以前の勤務先での人事評価制度に対しての
「不満を持っていた経験」「納得できない評価」にも
当然原因があり、
その不満の原因が解消された
人事評価制度であれば、受け入れられるのです。
話を戻しましょう。
私がどのような話をすると
幹部社員たちの怪訝そうな顔つきが明るくなるのか。
それは、次のことを説明したときです。
・予め「評価項目」「評価基準」をすべて説明すること
・誰が評価しても評価がブレない明確な「評価基準」を設定すること
・評価結果をその根拠と共に本人にフィードバックすること
これらのことを説明すると
幹部社員たちの「怪訝そうな視線」がなくなるのです。
中には、「本当かな?」という表情の幹部社員も居ますが、
多くの幹部社員の表情は柔らかくなのです。
そして、実際、私たちが作成した
「人事評価表」の見本を見せると、なおさら納得してくれます。
要するにこの三つのことが、
前述した、中途入社の幹部社員が
以前の職場で経験した
不満や納得できない評価をされた原因なのです。
その原因が解消される人事評価制度であれば、
期待が持てるということです。
もちろん、人事評価制度は、
人材の評価ではなく、
あくまで、人材の育成のためであることは
最初に説明済みですので、
そのこととつながるのです。
少々補足しておきますが、
人事評価制度というのは、
自社において人材育成を行い、
どこまで人材育成できたのかを検証・確認する行為なのです。
ですから、
人材育成を行っていない組織が
人事評価制度を行ってはいけないのです。
例えるなら、
中学校3年生で習うべき二次方程式ついて、
教えてもいないのに
二次方程式のテストを行うようなものです。
このような行為は、企業として褒められた行為ではありません。
大企業の場合は、自ら努力すべきとの考えもあり
仕方がないのかもしれませんが、
中小企業では問題です。
中小企業に入社してくる人材は、
一部を除いて、教育・育成が必要なのです。
その教育・育成をしていないにも拘わらず
どこまでその人材の力量が伸びたのかを
測る行為である人事評価制度の運用は、
どうなのでしょうか。
ただ、教育・育成を行っている中小企業であっても
一般的な人事評価制度を導入してしまうと
・人材から視て、何を評価されているのか不明
・評価基準が無かったり、あいまいであったりする
・評価結果がフィードバックされない
(フィードバックされても、その根拠が示されない)
ということになるのです。
ですから、中小企業は、
このような人事評価制度は、導入してはいけないのです。
もう一度、列挙します。
中小企業の人事評価制度は、
・予め「評価項目」「評価基準」をすべて説明すること
・誰が評価しても評価がブレない明確な「評価基準」を設定すること
・評価結果をその根拠と共に本人にフィードバックすること
であることが必要です。
前述のように私からこれらのことを
幹部社員に説明すると、
幹部社員たちは、初めて、「聴く耳」を持ってくれます。
そして、いざ、人事評価制度を導入する場合、
これらを実現できる人事評価制度にするのです。
これら三つのことを実現できる人事評価制度にするためには、
バックグラウンドで様々な苦労がありますが、
その苦労を乗り越えて導入する価値は非常に高いのです。
いや、中小企業において、
これら三つのことが実現できない人事評価制度であれば、
導入すべきではありません。
なぜなら、従業員から支持されないからです。
あなたの会社では、ぜひ、
従業員(人材)から支持される人事評価制度を導入してください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。「人事制度(人事評価制度・賃金制度)セミナー・勉強会」の講師を190回以上務め、社長・経営層の延べ受講生1900名以上。
自らの約10名の従業員を雇用する組織の経営者。
商業出版書籍
「建設業の人手不足に効く!人事評価制度・賃金制度・公共工事受注マニュアル」(同友館)
「人事評価制度が50分で理解でき、1日で完成する本 (忙しい社長のためのビジネス絵本) 」(同友館)
「今日作って明日から使う中小企業のためのカンタンすぎる人事評価制度」(中央経済社)
「従業員のための人事評価・社長のための人材育成」(同友館)
「人手不足脱却のための組織改革」(経営書院)
「『プロセスリストラ』を活用した真の残業削減・生産性向上・人材育成実践の手法」(日本法令)等