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2023.12.21

賃金制度

建設業の賃金制度・給与制度を1日で完成(2024-2-14更新)

建設業の賃金制度・給与制度

なぜ、公共工事の積算は細心の注意で決定するにも拘わらず、中途入社人材の賃金・給与はテキトーに決定するのか?
今回は、建設業における「賃金制度・給与制度」について考えてみましょう。

皆さんは、賃金制度と聴いてどのようなことを思い浮かべますか?

多いのは、「就業規則」に規定してある、賃金の決定方法や支払い方法についてではないでしょうか。これは、「就業規則」策定時に必ず規定しなくてはならない絶対的記載事項です。ですから、この規定内容をもって「賃金制度・給与制度」と捉えるのは少々寂しい理解ですね。
就業規則
賃金制度とは、「○○の場合は、◎◎円支給」「■■の場合は、◇◇円支給」と機械的に支給額を決定できる仕組みであり、或る仮定に基づき将来の賃金額の予測がたてられる仕組みなのです。
給与制度・賃金制度
また、人事評価制度における評価結果を反映させる仕組みとも言えます。

そして、大きな特徴は、

中途入社の人材の賃金・給与を根拠を元に自動的に決定できる

ということでしょうか。

あなたの会社では、中途入社人材採用の際、給与額をどのように決定していますか?

一般的には、次のように決定されるのではないでしょうか?

・○○建設株式会社 総務部長:「前職の▼▼土木建設株式会社さんでのお給料はおいくらでしたか?」
・求職者:「30万円です」
・○○建設株式会社 総務部長:「では、当社では多少増額して、31万円でいかがでしょうか?」
賃金決定
このような方法で、中途採用人材の給与額を決定していますと、年齢や能力、経験、資格などがほぼ同一の人材である、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの給与額に大きな隔たりが・・・。例えば・・
・Aさん:施工管理経験15年:38歳:月額給与=31万円
・Bさん:施工管理経験17年:40歳:月額給与=29万円
・Cさん:施工管理経験10年:35歳:月額給与=32万円
・Dさん:施工管理経験25年:47歳:月額給与=28万円
コレ、非常に不公平ですね。
この不公平を公平にする仕組みが、建設業の賃金制度(給与制度)といえます。

決して、「就業規則」の賃金の項目、
「賃金規程(給与規程)」の内容のことではないのです。

正直、この不公平・・・「ズルい」は、離職理由にもなってしまいます。
建設業において、賃金制度がない、若しくは、いい加減な制度のため、離職されてしまうのは大きな痛手です。
不公平
建設業賃金
では、あなたの会社では、次の人材が応募してきて、採用面接の際、賃金・給与を決定できますか?

・氏名:佐藤 敏夫
・40歳
・保有資格:1級土木施工管理技士
・経験:施工管理補助経験6年、施工管理経験12年
・予定している役職:課長
・予定している職能資格等級:4等級
・扶養家族:小学生1名
建設人材
土木施工管理技士
適切な「賃金制度・給与制度」が存在していれば、佐藤さんの給与額は瞬時に決定できるのです。
“瞬時” と記載しましたが、条件をExcelに入力するだけで前述の条件の場合の賃金額が即、表示されます。

もちろん、この「賃金制度・給与制度」で瞬時に決定した金額を目安として、多少の増減は必要なのかもしれませんが、あくまで、自社規定に基づいた金額(支給の根拠)が明確になるのです。

これは非常に大きなメリットだと思いませんか?

私どもが常に勉強会やセミナー、書籍でお伝えしていること。

すべての事象に根拠がある

支給されているお給料・賃金にも根拠がなくてはならないのです。
根拠
もし、あなたの会社の建築工事部のAさんから、「どうして私の給与はBさんよりも3万円も低いのですか?保有している資格も年齢も同じだと思うのですが」と尋ねられて、その3万円の差額の根拠を明確に説明できれば問題ないのですが、説明できないと、Aさんにとっては、非常に不満はもちろん、会社に対する不信感が募ります。そして、いずれ退職・・・。

非常にもったいないですね。

このブログを執筆している2024年1月現在、人材採用が非常に困難な職種として、「美容師」「歯科衛生士・歯科助手」「建設業の施工管理技士」が挙げられます。
人手不足 建設業
あなたの会社は、建設業者として、

・施工管理技士を雇用する
・施工管理技士を育成する
・施工管理技士の退職を防止する

ことが必要ですよね!

であれば、建設業者として、施工管理技士を雇用するため、育成するため、定着させるための施策や仕組みを導入・運用する必要があるのです。
そのための重要な仕組みとして「賃金制度・給与制度」があるのです。

もちろん、「賃金制度・給与制度」だけではなく、「人事評価制度」も有用です。
場合によっては、「職能資格等級制度」も必要ですね。

建設業者さんとして、人材を育成及び定着させるために「賃金制度・給与制度」「人事評価制度」「職能資格等級制度」を上手く活用すべきですが、これらの制度は、新規に人材採用する際にも非常に有益なのです。特に40歳以下の若手・中堅人材には効きます。
建設人材
最近の若手人材にとって、「給与を稼ぐ」「高賃金を期待する」という人材は、確かに減少傾向ではありますが、やはり、自分の給与・賃金の根拠は明確に理解したいものです。だからこそ
根拠の明確な賃金制度・給与制度が必要なのです

建設業者の社長として、あなたは、一人一人の従業員さんに賃金・給与額の支給根拠を説明できますか?
あなたの建設会社の「就業規則」の賃金の決定欄の「基本給」の項目に記載してあるのは、「基本給は本人の能力、経験により個々に決定する」と規定されていませんか?(今スグに確認してみてください)。

コレ大きな問題です。
“基本給は本人の能力、経験により個々に決定する” という規定は、
「わが社では賃金制度という賃金支給の根拠となる仕組みが存在しないので、その都度、決定します」
ということなのです。
建設業 社長
これでいいのでしょうか?

特に人手不足業界である建設業界において、賃金の支給の根拠となる「賃金制度」は非常に重要であることを社長ご自身が認識する必要があるのです。

いいですか!何事にも「根拠」が必要なのです。

建設業で働く人材の賃金・給与についても、「なぜその金額なのか?」という根拠が必要です。

公共工事の入札における積算金額にも根拠が存在しますね。それと同じなのです!
積算ソフト
公共工事の積算金額は細心の注意を払い決定するのですが、
なぜ、新規雇用人材の賃金・給与は適当に決めてしまうのですか?

このことからも建設業における賃金制度・給与制度の重要性をご理解いただけると思います。

ただ、
「建設業で賃金制度が重要なことは理解できましたが、どのように賃金支払いの仕組みである賃金制度を策定するのか、想像もつきません」
という建設業を経営する社長さんから聞こえてきます。
困った 社長
確かに、中小建設業を経営する社長さんにとって、「賃金制度・給与制度の策定」は、雲をつかむようなことなのかもしれません。

ただ、そのような社長さんだからこそ、学んでいただきたいことがあるのです。
その為の勉強会・セミナーを当ブログの最後にリンクを貼りましたので参考にしてみてください。

ここまで、建設業における施工管理技士の「賃金制度・給与制度」を説明しましたが、建設業2024年問題に絡めて、施工管理技士の残業削減にも少しふれておきます。
建設業2024年問題
私自身、ISO9001・ISO14001等の審査で、今でも年間40社以上の建設業者さんに審査を担当していますが、施工管理技士の残業が中々深刻です。しかも、年度末に近づく1-3月は特に。

しかし、請け負った公共工事の竣工間近であっても、ほとんど残業をしない施工管理技士(監理技術者・主任技術者)の存在も少数ではありますが、確認しております。

残業が非常に多い施工管理技士 と ほとんど残業がない施工管理技士。

ナニがどのように異なるのでしょうか?

この件については、いずれまた。

執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。
商業出版書籍に「CCUS(建設キャリアアップシステム)/CPDの活用で建設業の人材不足解消と育成はできる!」(中央経済社)、「人事評価制度が50分で理解でき、1日で完成する本 (忙しい社長のためのビジネス絵本) 」(同友館)、「今日作って明日から使う中小企業のためのカンタンすぎる人事評価制度」(中央経済社)等がある。
20年以上前から愛知建設業会館(愛知県建設業協会)7階に本社事務所を構え、中小建設業への指導多数。

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