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2024.3.31

賃金制度

建設業の2024年問題は「賃金制度」問題です。

建設業の2024年問題は「賃金制度」問題です

建設業の2024年問題を「賃金制度」で解決しましょう。

遂に建設業・運送業・医師の2024年問題に突入です。
(運送業=自動車の運転の業務)

この2024年問題は、残業時間(時間外労働)の上限規制ですね。
残業、時間外労働
私自身、残業削減の専門家であり関連書籍も数冊執筆しており、
かつ、社会保険労務士であることから、
数多くの相談を受けている状況です。

この2024年問題(以下、「建設業の2024年問題」と表記します)、
「如何に残業時間(時間外労働)を削減するのか」に
焦点が当てられており、
正にその通りなのですが、
建設業の2024年問題は、実は、
「建設業の賃金制度問題」
なのです。
(この場合の建設業は、主に公共工事を受注している建設業者とします)
建設業の働き方改革:2024年問題
建設業者において、残業の上限は守らなくてはなりません。

守ることができないと、
建設業者としての運営自体が危ぶまれます。

この「建設業者の残業時間を如何に減らすのか?」については、
私の拙著や他の原稿をお読みいただくとして、
建設業の2024年問題が、
なぜ、
「建設業の賃金制度問題」なのか?を説明します。
賃金決定
建設業者としては、残業の上限はクリアしなくてはなりません。

実際、公共工事においても週休二日制工事が増えてきましたし、
他にも様々な施策が展開されています。

その結果として、
建設業で働く人材の残業時間・時間外労働は削減されるでしょう。

それは、とても良いことなのですが、
問題はそこからなのです。

建設業で働く人材の残業時間・時間外労働が減るということは
人材が受け取るお給料が減ってしまうということです。
薄給
「当社は、定額残業代だから関係ないです」という
建設業者さんも存在すると思いますが、
この先、永遠に定額残業代が認められる保証はありません。

いずれ、定額残業代が否認されることに備えて、
実残業代の支払いという
実際に時間外労働時間数に対して、
残業代を支払うようにするべきなのです(実残業代の支払い)。

建設業に限らず、どの業種であっても、
残業時間を削減する前に、
実残業代の支払いに移行することは非常に危険です。
危険
今回の「建設業の2024年問題」は、
建設業者において、まずは、残業時間を削減する
非常に良い機会と言えます。

正に国の考えもそこにあると思えます。

であれば、ちょうど良い機会として
建設業者として、2024年問題に上手く“乗り”
残業時間(時間外労働)を削減していけばよいのです。

そして、
定額残業代 から
実残業代支払い に変更するのです。

そこで、建設業の「賃金制度」。

建設業で働く人材からすると手にすることができる
お給料が減ってしまう!
のです。

実際、公共工事においては、
週休二日制工事が増えてきており、
いずれは、公共工事は緊急工事を除いて
すべて週休二日制工事になるでしょう。
建設業の週休二日
公共工事以外を受注して、
土日に稼働しようとしても、
建設業の2024年問題の本丸である
残業時間の上限規制から
「働きたくても働けない状況」
になってしまうのです。

これは、建設業に関わらず
自動車の運転の業務(一般表記としては運送業)も同様ですね。

要するに
建設業の2024年問題である残業の上限規制により、
年間の残業時間の上限が厳しくなり、残業時間が削減され、
その結果、建設業で働く人材が手にするお給料が
削減されるのです。

でも、ここで少し考えてみてください。
考える建設作業員
建設業の2024年問題である残業の上限規制により、
建設業を経営する経営者の立場で考えてみると
自社の完成工事高、利益は削減されているのであれば、
当然のことながら、
自社で働く人材に支払うお給料は削減するべきです。

しかし、
自社の完成工事高、利益が削減されていないのであれば、
自社で働く人材に支払うお給料を削減する必要はないのです。

要するに建設業の2024年問題により
建設業で働く人材の残業が削減されても
自社の完成工事高、利益が削減されないのであれば
建設業で働く人材のお給料を削減しなくても良いのです。
そのまま
建設業で働く人材からすると、
建設業の2024年問題により、
自分の残業時間が削減されるにも拘らず(総労働時間が削減され)、
手にするお給料の額は減らないのです(若しくは増額される)。

2024年3月まで:月間労働時間240時間、お給料34万円
2024年4月以降:月間労働時間200時間、お給料34万円

このことは建設業で働く人材にとって
非常に良いことです。
うれしい
もちろん、建設業者にとっても良いことであり、
この事実を上手くPRすることにより
人材採用が容易になり、
人手不足・人材不足の解消に繋がるのです。
建設業の人手不足解消
でも、そんな、ウマい話などあるのでしょうか?

可能です

実は、建設業で働く人材には、
大きく分けて3種類存在し、
残業時間が多いのは1種類の職種だけではないですか?

【建設業で働く3種類の人材】
1:施工管理を担当する人材(配置技術者、主任技術者、監理技術者)
2:現場で作業する人材(技能者、職人)
3:事務や営業を担当する人材

上記の3種類の建設業で働く人材のうち
膨大な残業時間で正に建設業の2024年問題に抵触するのは、
1:施工管理を担当する人材(配置技術者、主任技術者、監理技術者)
ですよね。
建設人材 土木施工管理技士
であれば、
“1:施工管理を担当する人材”の
残業削減を考えればよいのです。

この残業削減対策は様々あり、
拙著である「CCUS/CPDの活用で建設業の人材不足解消と育成はできる!」(労働調査会発行)をお読みいただくか、私にお問い合わせください。
建設キャリアアップシステム・継続教育で建設業の人材不足解消と育成はできる
いいですか。
“1:施工管理を担当する人材”の
残業削減は可能なのです。
諦めないでください。

また、“2:現場で作業する人材(技能者、職人)”の残業時間が膨大な場合は、
原因が明確な場合が殆どです

単に稼働日数が多いか、現場の掛け持ちです。
これを認めてしまうと
建設業の2024年問題を根底から否定してしまうので
ここでは触れずにおきましょう。

ただ、当ブログは、冒頭で
“(この場合の建設業は、主に公共工事を受注している建設業者とします)”
と記載した通り、
下請専門の専門工事業者の技能者、職人について、
意識しておりません。
これらの方々は、前述のように
稼働日数が多いか、現場の掛け持ちが原因であり、
自らの意思若しくは会社の指示ですから
この問題はいずれまた。

そこで「賃金制度」
建設業の賃金制度
建設業の2024年問題で
建設業で働く人材の残業時間が削減されたとしても
当該建設業者の完成工事高、利益が減っていなければ
当該建設業で働く人材のお給料が減らない
「賃金制度」を策定するのです。

このことが、
「建設業2024年問題は『賃金制度』の問題」
私が主張する理由です。

この「賃金制度」の対象は、原則、
“1:施工管理を担当する人材(配置技術者、主任技術者、監理技術者)”
ですから、
彼ら・彼女らに対して、
働いた時間で賃金を決定するのではなく
出した成果により賃金を決定する「建設業の賃金制度」を策定・導入するのです。

では、“出した成果”とは、どのようなことでしょうか。
以下、例を示します。
・実行予算に対する執行率
・発注者からの評定点数
・品質管理の実施内容
・安全管理(安パト、KY、現場巡視、リスクアセスなど)の実施状況
・工期遵守度
・出来形管理の実施内容(土木系)  などなど
施工管理
これらについて、「建設業の賃金制度」において、
手当の創設や、
支給基準を策定していくのです。
決して、残業時間ではなく。

今回は長くなりましたのでこれくらいにしておきます。

また、別の機会に「建設業の賃金制度」
説明したく思います。

それまで待てない方へ
ご連絡いただくか、
愛知県建設業協会7階の当社にお越しください(アポ取ってくださいね)
愛知建設業協会・建設業会館
最後までお読みいただきありがとうございます。

「カンタンすぎる賃金制度勉強会」はこちらへ

執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。
商業出版書籍に「CCUS(建設キャリアアップシステム)/CPDの活用で建設業の人材不足解消と育成はできる!」(中央経済社)、「人事評価制度が50分で理解でき、1日で完成する本 (忙しい社長のためのビジネス絵本) 」(同友館)、「今日作って明日から使う中小企業のためのカンタンすぎる人事評価制度」(中央経済社)等がある。
20年以上前から愛知建設業会館(愛知県建設業協会)7階に本社事務所を構え、中小建設業への指導多数。

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