ブログ
BLOG
「使用者される側」「使用する側」は、永遠に分かり合えないのでしょうか?
今回は、人事評価制度・賃金制度とも密接な関係がある話です。
一般的に「労使」というと、
「労働者」と「使用者」の両方を表現していることになります。
人事評価制度でいうと、
「労働者=評価される側」
「使用者=評価する側」
賃金制度でいうと
「労働者=賃金を決められる側」
「使用者=賃金を決める側」
この「使用者」は、時には、「会社側」「上司」と置き換えることもあります。
では、この「労使」。
永遠に分かり合えないのでしょうか?
分かり合うためには、
お互いの立場を理解できなければなりません。
では、「使用者」である「経営者」は、
「労働者」の立場を理解できているのか。
多くの「経営者」は、一部の方を除いて
いきなり「経営者」になる方は少ないので、
「労働者」の立場を経験しているはずです。
であれば、「労働者」の立場を理解できているのでは?と、
思われますが、
それが、かなり過去のことである場合、
「労働者」としての経験が忘却の彼方に行ってしまうことがあるでしょう。
それでも、経験は、何よりもの財産です。
私も30年以上前は、
「労働者」として働いていたので、
「労働者目線」を思い出すことが出来ます。
思い出すと、やはり不満がいくつもありました。
でも、さらに思い出すと、
「自分が甘かったなぁ」と思えてしまうことが多いのです。
実際に「労働者」として、
働いていたとき不満に感じたことは、
その時は、正義と思っていたとしても
正義というよりも愚痴であったと思えます。
では、「労働者」としての不満はどのようなときに現れるのか。
それは、非常に簡単です。
自分が会社からの要請・ルールに応えられないとき、従えないときです。
ヒトは、皆、他人のせいにしたがります。
何かうまくいかないとき、
自らの立場や能力を顧みずに
他人のせいにしてしまうのです。
これは、本能であり、ある程度仕方ないとも言えます。
私も「労働者」時代、
ずいぶんと身勝手なことを上司に伝えていたと
今では反省しています。
でも、この「労働者」としての経験は必要なことでした。
次に、使用される側である「労働者」は、
使用する側である「使用者」の立場を理解できるのか?です。
これは、少々難しい。
そもそも、私たちコンサルタントが
絶対的に身につけなくてはならない能力こそが、
「経営者目線」なのです。
なぜなら、
コンサルタントの多くが、
お客様として対応していただく相手が
「経営者」だからです。
「経営者」相手に、
様々な指導をさせて頂き、
時には、その「経営者」に叱咤激励しなくてはならないのですから
最低限、身につけなくてはならない能力こそが
「経営者目線」なのです。
人事評価制度では、特に顕著です。
コンサルタントの中には、
対応させていただく相手が、
経営者ではなく、
一般社員や管理職の場合もありますが、
そのようなコンサルタントの方であっても、
この「経営者目線」は、
必須ではないのですが、有った方が様ですね。
私たちは、
経営者と一緒に人事評価制度・賃金制度を策定するコンサルですから、
この「経営者目線」がないことには話にならないのです。
私自身、様々な社長・経営層に対して
コンサルティングを実施し、
相談を受けており、
中にはコンサルティングを受けることに慣れている
社長・経営者がいらっしゃり、その方々から、
最近よく耳にするフレーズとして
「サラリーマンコンサルだと話にならない」
「サラリーマンコンサルは経営者の立場が理解できていない」
というものです。
人事評価制度・賃金制度を策定する場合、
「経営者目線」は、必須ですが、
「経営者目線」を必須としないコンサルティングも存在します。
しかし、依頼する側の社長・経営層からすると、
「経営者目線を身につけているコンサルに担当してほしい」と
言うのです。
私は、社会保険労務士事務所・行政書士事務所も
主宰しているので
この、社会保険労務士・行政書士のお客様についても考えてみます。
やはり、社会保険労務士・行政書士のお客様も
多くは、社長・経営層が対応担当者です。
ただ、行政書士業務の場合、
許認可手続きの代行が多いので、
それほど、経営課題がテーマではないことから
行政書士業務で「経営者目線」を身につけることは、
必須とは言えないと思います。
しかし、例えば、行政書士業務であっても、
公共工事受注を目的とした
建設業許可を一般建設業から特定建設業に許可換えのためや
経営状況分析(Y点)アップなどの
財務内容についてのアドバイス、
行政機関のランクアップ指導、
経審の加点、受注物件増加のための
人材採用計画、人材育成計画となると
もうこれは、単なる許認可の範疇を超えており、
「経営者目線」が必要なのです。
社会保険労務士業務はいかがでしょうか?
社会保険労務士業務も、
単なる労働・社会保険の得喪事務の場合は、
「経営者目線」は、不要です。
しかし、人材の処遇に関する労務相談や
「就業規則」の策定については、
「経営者目線」が必要です。
(必須ではなく必要)
なぜ、必須ではなく必要なのでしょうか。
人材の処遇に関する労務相談や
「就業規則」の策定については、
「経営者目線」がなくても行えるからです。
しかし、「経営者目線」があれば、
社長・経営層に寄り添った労務相談ができますで、
「就業規則」については、会社を守るための内容を規定できるからです。
では、人材・労働者は、どのようにすれば
「経営者目線」を身につけることが出来るのか。
人事評価制度で可能なのですが、
今回は、人事評価制度は、脇に置きましょう。
まず、「経営者目線」とは何なのでしょうか?
カンタンです。
経営者目線とは、
・ムダな時間を使わない
・ムダな経費を使わない
要は、その時間と経費は
売上につながるのか?
組織改善につながるのか?
ということ。
売上向上・組織改善につながらないことに時間を費やすことはムダです。
売上向上・組織改善につながらないことに経費を使うことはムダです。
このことを人材によくよく理解していただかなくてはならないのです。
因みに「経費を使う」とは、
直接的にお金を使うことに限らず、
・ムダに電気を使用していないか
・ムダなカラーコピーはないか
・ムダな外出はないか
・備品のムダ遣いはないか
ということです。
そのために人事評価制度も活用できます。
以上をさらにまとめますと、
「労働者は、個人の利益・やりたいことを優先しない」
ということです。
あなたの会社の人材(労働者)は、
売上向上・組織改善につながらないことに時間を費やしていませんか?
売上向上・組織改善につながらないことに経費を使っていませんか?
そして、
個人の利益・やりたいことを優先していませんか?
最後までお読みいただきありがとうございます。
今日作って明日から使用する人事評価制度の勉強会はコチラ
執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。「人事制度(人事評価制度・賃金制度)セミナー・勉強会」の講師を180回以上務め、社長・経営層の延べ受講生1900名以上。
自らの約10名の従業員を雇用する組織の経営者。
商業出版書籍
「人事評価制度が50分で理解でき、1日で完成する本 (忙しい社長のためのビジネス絵本) 」(同友館)
「今日作って明日から使う中小企業のためのカンタンすぎる人事評価制度」(中央経済社)
「従業員のための人事評価・社長のための人材育成」(同友館)
「人手不足脱却のための組織改革」(経営書院)
「『プロセスリストラ』を活用した真の残業削減・生産性向上・人材育成実践の手法」(日本法令)等