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働きやすい環境とは
若者が考える働きやすい職場とは?
「マイナビ」が大学生・大学院生が就職活動の際、企業に公開してほしい情報として、「離職率」「平均勤続年数」「有給休暇取得率」「産休や育休制度の利用率」が1位~4位を占めました。
離職率の向上、勤続年数の増加、有給休暇取得率向上及び産休や育休制度の利用率向上は、すべて、残業ゼロ企業(若しくは残業が少ない企業)であれば実現できるのではないでしょうか。そして、これらが実現できる企業こそ「社員が働きやすい環境」といえるでしょう。
この「社員が働きやすい環境」を実現するためには、残業時間・ムダな労働時間を極限まで減らし、生産性を向上しなくてはなりません。
「社員が働きやすい環境」は前述のとおりですが、それに関連してもう一つ、社員が働きやすいと実感している職場の共通点を今までの業務経験上(750回以上の様々な組織へのマネジメントシステム監査経験)感じていました。ただ、そのことは後程、触れるとして、その前にまず北欧スウェーデンの職場環境について触れたいと思います。
北欧スウェーデン労働環境は働きやすいのか?
スウェーデンにはここ数年で4回ほど訪問させて頂き、政府関係者、大手企業担当者、準公的機関担当者等からマネジメントシステムに関する様々なレクチャーを受けたのですが、その中でまず感じたことが、女性も男性も障がい者も区別のない非常にフラットな社会であるということです。このことは、「働くことに制約がある人」にとって非常に働きやすい社会環境と言えるでしょう。
「働くことに制約がある人」にとっても働きやすい環境
「働くことに制約がある人」とは、ワーキングママ・パパ、学びながら働く人、家族の介護をしながら働く人、自らの持病・障がいを抱えながら働く人、主婦(夫)をこなしながら働く人などの方を想定しています。私自身も母を抱え働くことに制約がある立場でした。
なぜ、スウェーデンではこのように「働くことに制約がある人」でも社会で活躍できるのでしょうか?
その大きな要因の一つとして、「残業時間・ムダな労働時間が極めて少なく、長期休暇取得が当たり前であることからプライベートの計画が立てやすく実行できる」と言うことだと思います。
要するに「残業時間を含めたムダな労働時間が極めて少なく、結果、プライベートの充実が可能である職場こそ社員が働きやすい環境」と言えるのではないでしょうか。
残業時間が少ないということは自宅で過ごす時間が多く、その時間を子育て、勉強、介護等に充てられ、長期休暇についてもバカンスを楽しむだけではなく目的を持って過ごせるのです。
ただ、スウェーデンで働いている方曰く、近隣諸国の人から「スウェーデン人はフィーカ(お茶とお菓子の習慣)ばかりしていてあくせくと働いていないのでは?」との印象をもたれれているとのこと。
しかし、逆の見方をするとフィーカの短い時間にお茶を飲み、おしゃべりして仕事に戻ると脇目も振らずに作業に没頭するということではないでしょうか。
スウェーデンでは男女や障がい者の区別が無くフラットな社会であると前述しましたが、フィーカのお茶を淹れるときも女性だけではなく、男性も率先してお茶を淹れていました(また、これが様になっていてカッコイイ!)。
では、スウェーデンを始めとした北欧諸国と日本の労働に関するデータを比べてみましょう。
データでみる北欧諸国と日本の労働環境の違い
OECD加盟国の2012年の時間当たりの労働生産性はノルウェーが1位、スウェーデンが11位、フィンランドが16位であり、わが国日本は20位に甘んじています(日本生産性本部・生産性総合研究センターのHPより)。また、他のデータとして
労働者一人の年間労働時間(2013年)
ノルウェー:1420時間
スウェーデン:1621時間
フィンランド:1672時間
日本:1745時間(★)
日本の労働時間の1745時間は少ないように思えるが、この数値は短時間労働者を含めた時間であり、日本において短時間労働者の増加により年間労働時間が減少したかのように思えるが、実際、減少はしていない。また、北欧諸国は正社員比率が極めて高いため、前述の数値の信ぴょう性は高いと思われる。
女性の就業率(2012年)
スウェーデン:82.5%
ノルウェー:82.1%
日本:69.2%
但し、正社員比率は日本が圧倒的に低い
残業時間
スウェーデンでは、法律で月50時間以上、年間200時間以上の残業は禁止されている。
有給休暇付与
スウェーデンでは企業は労働者に対して、最低5週間(25日)有給休暇を付与しなくてはならず、通常、夏季に4週間ほど取得する。
ムダな作業が多い日本
以上のような実態からみると日本は褒められた数値ではありません。
但し、日本の製造業に関しては労働生産性が高いことは周知の事実です。
確かに、日本の製造業でも生産性が低い企業は数多く存在しますが、日本では非製造業に関しては特に生産性が低いというか、ムダな作業が多いと思えます。ムダな作業以外にもおかしな風習もあります。それら事例を幾つか挙げてみます。
- 課長は部長を納得させるための資料を係長に作成させている:
社内のネゴのための文書作成がどれほど無駄であるのか。このような「保身」「ネゴ」のために必要な文書の作成意義をよく考える必要があるでしょう。 - 長時間労働や残業が多い従業員が社内では評価されている
- わがままな利害関係者(顧客、上司・同僚・部下)が残業時間・ムダな労働時間の原因を作っている
- 従業員の育成があまりにも下手なため能力向上が出来ず残業になる
その作業は業務の目的を考えた場合、真に必要な業務なのか?
前述の事例はほんの一部ですが、「業務の目的を考えた場合、その作業は真に必要な作業なのか?」をよく検討していただきたいのです。
前述の“課長は部長を納得させるための資料を・・・”に代表されるように、日本企業は内向きの作業が非常に多い。
また、「しがらみ」がムダな労働時間になっている現状・・・。
有能な人材とは「一定の時間内で成果を出せる人」
冒頭で“社員が働きやすいと実感している職場の共通点を今までの業務経験上(750回以上の様々な組織へのマネジメントシステム監査経験)感じていました”に対する回答は、
「一定の時間内で成果を出すことが常態化している組織風土を持つ会社」です。
経営者から視ると、「与えられた時間内で成果を出す人材」が非常にありがたいのです。では、なぜ、残業が発生しているのでしょうか?本人の能力の低さ、生産性の悪さだけではありませんが、何らかの原因により残業しなくてはならない状況なのでしょう。
なんかヘン!日本の会社の評価軸
日本企業のおかしな風習として“長時間労働や残業が多い従業員が社内では評価されている”と前述しましたが、実際、Google(グーグル)が実施している「働くママを応援するサイト」である「# Happy Back To Work」で募集した、働くママを応援するアイデアとして
1位:「長時間働いた人がえらい」そんな空気辞めませんか?
5位:会社にいる時間が長いことと美化するのをやめよう
18位:「残業する従業員が良い社員」という組織風土の撲滅
と言う順位になっています(2015-3-13現在)。
このような組織の風習を「ゼッタにおかしい」と思っている人がナント多いことか!
なんで長時間労働が高評価を得るという馬鹿げたことが起きているのか?
なぜ組織は残業時間や社内滞在時間で人材を評価してしまうのでしょうか?その原因として、
- 適切に評価する基準がないため
- 上司(会社)が人材を適切に評価する力量が無いため
- 経営者、上司の考えが旧態依然としており「会社に居残りしている=仕事を頑張っている」というイメージが強いため
等が考えられます。
ここでもう一度、はっきりと書いておきます。
有能な人材とは「一定の時間内で成果を出せる人」であり、残業時間が多い人や遅くまで会社に残っている人ではありません。
現状の残業削減対策では効果は限定的
一定時間内で成果を出すことが当然の組織を構築するには、まず、残業時間・ムダな労働時間を削減し、生産性を向上させなくてはなりません。
時短や残業ゼロを目指すために様々な施策や取組が行われており、その事例集的な書籍も散見されます。具体的な手法事例として
- 午後6時に強制消灯
- ノー残業デーの設置
- 残業の許可制
これらの手法は取組み当初は効果が出る場合もありますが、時間経過とともに効果が薄れ、逆にとんでもないことに発展する可能性があります。例えば、
- 午後6時に強制消灯後、タイムカードを打刻し暗い中、居残り残業
- 自宅に持ち帰り自宅で業務処理
このようにサービス残業(違法残業)の温床となりかねません。
これらの対策は、働く側からみた(社員側)対策集・仕事術であり、いくら働く側(社員側)が頑張ったところで個人の行動では限界があります。しかし、このような手法を組織として取り入れ組織全体の取組みとしたところで、継続して成果を挙げるためには努力が必要で通常はフェードアウトしてしまいます。
残業時間・ムダな労働時間発生には必ず原因がある
そもそも、「問題発生には必ず原因がある」のです。
「問題=残業発生」とすると、
「残業時間発生には必ず原因がある」のです。
この「残業時間発生の原因」を特定せずに、上辺だけの時短対策を施したところで、効果が得られないことは少し考えれば誰でも容易に想像できます。例えば、頭痛の原因を特定しないまま(推察を含む)、治療に踏み切る医者と同じです。
残業発生の原因を特定して、マネジメントシステムで時短を実現
これらの取組みをシステムとして定着させ成果を出すために「時短マネジメントシステム」があります。
この私が考案した「時短マネジメントシステム」は次の構成になります。
ステージ0(~1、2ヵ月)
ステージ0-2(~3、4ヵ月)
ステージ1(~12ヵ月)
ステージ2(~24ヵ月)
更なる改善へ 継続的な運用
※コンサル時間について
1か月目~12か月目は、月1回6時間 又は 月2回各3時間
13か月目~24か月目は、月1回3時間
但し、13か月目~24か月目を月1回6時間にすることにより、18カ月でプロジェクトを終了させることが出来ます。
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時短活動における様々な問題に対処する
「一定の時間内で成果を出すことが常態化している組織風土を持つ会社」の実現に向けて活動していますと次のような問題が出てきます。
自分さえ良ければという社員の増加
成果を出すことだけに気を取られる社員の増加
上司、同僚、部下への気配りの欠如
など。
上辺だけの時短対策ではこれらの減少に対してモグラたたきのようにさらに断片的な対策を施していくことになりますが、マネジメントシステムとしてPDCAを廻して対処することによりシステムとして連動させ解決できるのです。
例えば、“上司、同僚、部下への気配りの欠如”については、人事評価制度との連携や残業時間の検証の際、個人毎だけではなく、部署ごとに検証するなど。また、“成果を出すことだけに気を取られる社員の増加”については、マネジメントシステムではプロセス管理を重視するので、プロセスの監視(マネジメントシステムに馴染みのない方にとっては少々難しい概念ですが容易に習得可能な概念です)を実施すればよく、そもそも「時短マネジメントシステム」自体がプロセスリストラを施す仕組みですから心配ありません。
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マネジメントシステムは問題解決、目標達成の手段
そもそもマネジメントシステムは問題解決や目標達成のための世界的に認められた仕組みですから、効果が出ることは当然と言えるでしょう。ただ、たった一つの注意点として、「社長が覚悟を決める」です。
誤解していただきたくないのは、社長自らが「時短マネジメントシステムプロジェクト」に参加してチームを引っ張るのではなく、あくまで、バックアップして頂きたいことです。
社長は様々な経営判断の仕事があります。そちらを優先していただいて構いません。但し、当プロジェクトを全面的にバックアップすることが必要なのです。
一社でも多く、この「時短マネジメントシステム」に取組み、時短を実現していただければと思います。