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「不適合の処置」「是正処置」を理解しましょう
今日のようなテーマの話をする人事制度コンサルタントや
社会保険労務士は、稀だと思いますし(居ないかも?)、
皆さんの感想は
「なんのこっちゃ?」と思われるかもしれませんが、
人事評価制度において、非常に重要なことなのでテーマにしてみます。
あなたの会社で、何か問題が発生した場合、
どのように対応しますか?
問題?・・・。
・提供した製品が不良品であった
・お客様への対応にミスがあった
・提供したサービスが不完全であった
以上は、お客様に対する「問題」ですね。
「問題」とは、お客様に対することだけではなく
社内の問題もありますが、
ここでは、お客様に対する「問題」に焦点を当てます。
例えば、
「お客様に提供した製品が不良品であった」場合。
ダメな対応の順番に並べてみましょうか。
1:なかったことにする
2:何もしないで社内で情報共有だけする
3:お客様に即通知して、謝罪し、提供した製品を回収(交換)する
4:製品不良の原因を追究し、その原因を取り除く
あなたの会社では、いかがでしょうか?
「1」「2」は、最悪ですね。
では、「3」は?
これは、最低限必要な行為で、
マネジメントシステムや品質管理の世界では、
「不適合の処置」と呼ばれています。
最低限、この「不適合の処置」は、やるべきであり、
製品を提供した組織としての責務といえます。
しかし、実は、「不適合の処置」だけではだめなのです。
では、どうするのか?
「再発防止処置」である「是正処置」が必要なのです。
「再発防止処置=是正処置」とは、
「4」の製品不良の原因を追究し、その原因を取り除くことなのです。
(原因の特定も安易にしないでください)
この「4」の「再発防止処置=是正処置」まで実施している
組織はどれくらいあるのでしょうか?
実は、製造業においては、「再発防止処置=是正処置」は当たり前なのですが、
非製造業においては、
「是正処置? ナニ?」って感じでしょうか。
でも、この「再発防止処置=是正処置」を行わないと
同じような失敗・不良が再発する可能性が非常に高いのです。
なぜなら、原因が残ってしまっているから。
病気もいわゆる不適合です。
病気も根治療するためには、
その病気の原因を取り除かないと再発しますね。
それと同じです。
よく、
「日本人は謝ってオシマイ」といわれていますが
(私が、さんざん拙著で書いたのかな)
企業が不祥事を発生させた場合に、
責任者や経営陣が、記者会見で、
会見場のひな壇に立ち、
「この度は、申し訳ございません。今後このようなことが無きよう、再発防止に努めます」
と伝えられます。
「えっ? 再発防止って義務なのでは?」と
突っ込みを入れたくなりますが、
その記者会見を取材するマスコミもそれで流してしまっています。
私は、以前、「検証マスコミ」の必要性を説いたことがあります。
「検証マスコミ」とは、
前述の
「・・・再発防止に努めます」と説明した企業のその後の状況を
追うためのマスコミです。
要するに
「再発防止は適切に実施されたのですか?効果はあったのですか?」と、
検証(確認)するマスコミのことです。
ただ、世の中の人自体が、
企業の不祥事を忘れてしまうことが多いので
マスコミにとっても、
その後の検証は取材ネタとして薄いのでしょう。
これは、マスコミが悪いわけではないですが。
皆さんの組織、いや、個人の活動においても
ぜひ、「再発防止処置=是正処置」の概念を持っていただきたい。
さらに問題なのは、
「再発防止処置=是正処置」どころか、
「不適合の処置」さえしないで、
問題を隠したり、なかったことにしたりすることですね。
これでは、組織の改善ができないのです。
組織の改善のためには、
問題について、
・それが本当に問題なのか?を判断する
・問題であれば、初期対応・応急処置はどうするのか?
・問題の原因追及を行い、その原因を取り除く
という、一連の取り組みが必要となります。
では、人事評価制度においては、どう当てはめるべきか?
人事評価制度において、
本来、4月に評価すべきことを失念しており、
評価が結果的に放置された場合も問題であり、不適合です。
これを放置してはいけないのです。
でも、なぜ、評価すべき時期に評価できなかったのか?
そして、そもそも、4月に評価すべき評価が未実施であることを
評価担当者は認識しているのでしょうか?
評価担当者が認識していないのでしたら
認識させなくてはなりません。
評価担当者の不備を認識させずに、
「あの評価担当者はダメだ」と切り捨てるのは愚の骨頂。
「是正処置」はおろか、「不適合処置」さえできないという
何ら問題解決にならないことになってしまいます。
まずは、人事評価制度上の不適合であることを
評価担当者に認識させたうえで、
応急処置である、「不適合の処置」と(まずは、評価の実施)、
原因を追究し、取り除く「是正処置」の実施が必要なのです。
あなたの会社は、きちんと評価担当者本人に伝えていますか?
伝えていないのであれば、評価担当者本人にとっては、
それこそ「なんのこっちゃ?」ですね。
そして、
「不適合の処置」
「再発防止処置=是正処置」についても理解してください。
そのためには、
「問題」を明確にする必要がありますね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。「人事制度(人事評価制度・賃金制度)セミナー・勉強会」の講師を170回以上務め、社長・経営層の延べ受講生1900名以上。
自らの約10名の従業員を雇用する組織の経営者。
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