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今回の以前からの続きで私の人事制度・人事評価制度(人事考課)のコア(芯)となっている知識の原点であるマネジメントシステムとの関連性について説明します。
人事制度の専門家であり、かつ、マネジメントシステムの専門家となるとわが国でもごく僅か、若しくは、ゼロだと思います。
ましてや社会保険労務士となると。
ただ、人事評価制度(人事考課)を策定するうえでも人事制度を構築するうえにおいてもマネジメントシステムの考え方を理解しているのと理解していないのとでは、完成した仕組みに大きな差が出るのです。
今、「完成した仕組み」と前述しましたがこの「仕組み」こそがマネジメントシステムだからです。
ですから、マネジメントシステムとなっていない人事制度や人事評価制度(人事考課)は、「しくみ」とは言えないのではないでしょうか。
そして、このマネジメントシステムをつかさどる重要な考え方が「プロセス管理」であり、「プロセスアプローチ」なのです。
この文書を読んでいただいているあなたにとっても一般的な人事評価制度(人事考課)コンサルタントにとっても「プロセス管理」や「プロセスアプローチ」と訊いても「なんですか?それ?」というのが正直な感想ですが、「プロセス管理」や「プロセスアプローチ」を理解しないで策定した人事評価制度(人事考課)や人事制度ではどうなのでしょうか?
あくまで私見ですが不完全であると思われます。
では、まず、「プロセス管理」。
以前(現在でも)、やたら「PDCA」という文言が流行り、書籍名もやたらPDCAが乱舞していました。
著者の方々は、PDCAをしっかり理解したうえで執筆されていると思いますが、果たして読者の方々はPDCAを理解しているのでしょうか?
私の拙著でも紹介しましたが、私の持論としては、「単にPDCAを廻しても改善しない」ということです。
要は、PDCAを廻すだけではなく、プロセス管理を施したうえでPDCAを廻さなくてはならないのです。
PDCAは、なんとなく理解している方が多いと思いますが、プロセスというと途端に怪しくなりませんか?
前回も説明しましたが、一般的にプロセスとは、
・手順
・過程
・活動
などと理解されており、すべて間違いではないのですが、マネジメントシステムの世界では、プロセスとは、インプット(入力)をアウトプット(出力)に代えることでしたね。
そして、プロセスは、大きなプロセスの中に小さなプロセスがたくさん含まれているのです。
それらプロセスの管理を確実に行ったうえでPDCAを廻していく必要があるのです。
このプロセスは、様々なプロセスがつながっており、全般的に管理をしていかなくては結果的に良い成果を得ることが出来ないのです。
例えば、トラック運送業における運転手さんの一日の作業プロセスを考えてみましょう。
「車両点検」「点呼」「積み込み」「走行」「荷下ろし」「走行」「帰庫点呼」が一日の一般的な作業プロセスの流れでしょうか。
また、事故を防止するためのプロセスとして「法定12項目受講プロセス」「ヒヤリハット情報提出プロセス」「安全管理研修受講プロセス」「KY活動プロセス」などがありますね。
以上、カギかっこ:「 」 がすべてプロセスですが、これらのプロセスの中で、リスクの高いプロセスがありますよね。
例えば、最近では交通事故より荷役事故が増加傾向にありますがであれば、「積み込み」プロセスと「荷下ろし」プロセスは、事故が起こる確率の高い、リスクの高いプロセスと言えます。
このリスクの高いプロセスを重点的に管理する必要がありますね。
この考え方をプロセスアプローチと言います。
また、私が補足するプロセスアプローチの考え方として全てのプロセスをまんべんなく管理しないと結果が思わしくならないということです。
先ほどのトラックドライバーの実施プロセスとして、11個ほどのプロセスを示しましたが、その11個のプロセスのうち、10個を完璧に実施したとしても「車両点検」プロセスを怠ったために事故を起こしてしまえば全てが台無しですね。
ですから、前述のリスク管理の観点からもまた、すべてを台無しにさせないためにもプロセス管理は非常に重要なのです。
余談ですが、人事評価制度(人事考課)の評価項目においても、「成果項目」と「プロセス項目」があることをご存じですか?
「成果項目」だけを評価対象とした場合は、成果さえ出していれば良いという偏った人事評価制度(人事考課)になってしまいます。
また、「プロセス項目」だけを評価対象とした場合は、がんばってさえいれば、成果が出なくても仕方がないという人事評価制度(人事考課)になってしまいますね。
いずれにしても人事評価制度(人事考課)としての欠陥です。
ですから、
「成果項目」と「プロセス項目」はまんべんなく策定する必要があるのです。
人事評価制度(人事考課)においてもプロセス管理の考え方は非常に重要なのです。
一般的な人事評価制度(人事考課)を策定する場合そのようなことを考えもしなかったという場合が多いのではないですか?
一般の方に「プロセスアプローチ」について一回で理解していただくことは難しいのかもしれませんが経営上、非常に大切な考え方ですのでぜひ、腹に落としてください。
次回は、私が「カンタンすぎる人事評価制度」を開発するうえで非常にヒントになったというか人事評価制度・人事制度の指導者としてのコア(芯)である、
「プロセスの要求事項」について説明します。