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今回も前回の続きで「プロセス」と人事評価制度(人事考課)の関連性について説明します。
その中でも、「カンタンすぎる人事評価制度」を開発するうえで欠かせない人事評価制度・人事制度の指導者としてのコア(芯)である、「プロセスの要求事項」について説明します。
「プロセスの要求事項」とは、聴いたことがありますか?
正直、マネジメントシステム審査員でも聴いたことが無い方もいらっしゃるでしょう。
でも、この「プロセスの要求事項」は、マネジメントシステム、人事評価制度(人事考課)以前の問題として、企業経営をしていくうえで非常に重要な概念ですから経営者の方はぜひ理解していただきたく思います。
私が「プロセスの要求事項」というフレーズを最初に耳にしたのは、マネジメントシステム審査員の先輩でもあり、マネジメントシステム関連講座の講師でもあるH先生からです。
私は、H先生を尊敬しており、そのH先生が何気なく発した「これが、プロセスの要求事項なのです」に非常に興味を惹かれ、今日に至っています。
H先生からそのフレーズを聴いたとき、私は既に主任審査員でしたし200回ほどの審査を実施していました。
ですので、「プロセス」という文言は当然のことながら理解していました。
しかし、「プロセスの要求事項」というフレーズには理解を通り超えて、興味がわいたというか「使える!」と思ったのです。
そのとき、人事制度の専門家であることを自負していましたので人事制度や人事評価制度(人事考課)で「使える!」と感じたのです。
私が理解した「プロセスの要求事項」とは、プロセスごとに
・人的資源の要求事項
・物的資源の要求事項
・仕組みとしての要求事項
等が存在しており、その要求事項を越えた、人的資源、物的資源、仕組み等が存在し活用することにより優良な製品やサービスを提供できるということです。
今までマネジメントシステムや一定水準以上の製造業に係わってこなかった方々には「なんのこっちゃ?」と思われるかもしれませんが、「プロセスの要求事項」というフレーズを聴き、その意味を自分自身で咀嚼したとき様々な「点」が「線」でつながったのです。
特に、私は人事制度の専門家でもありましたから「人的資源の要求事項」は、人事評価制度(人事考課)を策定する際に非常に大きな意味を持つ概念だと思ったのです。
様々な作業を処理するためには、(プロセスを処理するためには)その処理能力が備わっている人材が、その能力を発揮したうえで処理しなくては優良な作業にならず、結果、不良製品・不良サービスが生み出されてしまうこと。
この考え方こそが、職能資格等級に展開されるべきことであり、評価制度における優良評価獲得のための基準だと思ったのです。
製造業者の多くは、作業者の「力量表」(スキルマップ)を作成しており作業ごとに力量認定された作業員が作業を担当しています。
この考え方は、製造業では当たり前なのですが、非製造業では、当たり前ではない現実があります。
また、製造業においても「力量表」(スキルマップ)の精度があまりよくなく、力量認定されていない人材が作業を担当していたり、あくまで、目安程度に活用している場合があります。
私は、「カンタンすぎる人事評価制度」以外にも2007年ころ自分の中で最強・最高の人事制度である「プロセス人事制度」を開発しました。
これは、作業の川上から川下まで製品やサービスの完成に至るプロセスを明確にして、そのプロセスを処理するためには、どのような力量が必要であるのかを能力の程度ごとに振り分けている人事制度です。この「プロセス人事制度」は、確かに私の中では最強・最高の人事制度なのですが、欠点があります。
その欠点とは、
・策定が大変
・策定期間が長い
・運用も大変
という、一般的な人事評価制度(人事考課)の欠点である「長い」「高い」「面倒くさい」を地で行っている人事制度なのです。
ただ、一般的な人事制度と大きく異なることは、非常に詳しくて、精度の高い人事制度が完成することです。
ですので、「プロセス人事制度」は、創るのも大変で、運用も大変ですが、使いこなすことが出来れば、起業として非常に大きな成果を手に入れることができるでしょう。
「プロセス人事制度」も「プロセスの要求事項」を形にした人事制度なのです。
「カンタンすぎる人事評価制度」は、「プロセス人事制度」ほど、緻密ではありませんが、何といっても、社長がたった一日で創ることができ「プロセスの要求事項」という概念を反映した人事評価制度(人事考課)なのです。
前述のように「プロセスの要求事項」は、人材だけに適用するものではありませんので
・物的資源
・仕組み
等にも当てはめ、活用していただければと思います。