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社員が幸せになる中小企業向け人事制度:その2

人事制度で社員の「ライフ」を充実させましょう

前回社員が幸せになる「人事制度」は、存在するのでしょうか?
について、考えました。

社員が幸せになるためには、
ライフ(人生)の充実が必要であり、
ライフ(人生)を充実させるためには、
ワーク(仕事)の充実が近道であることを説明しました。

では、ワーク(仕事)を充実させるためにはどうするのか?

そのためには、
人材の能力・力量・技量が向上し(価値が向上し)、
勤務している組織でその能力・力量・技量(価値)を発揮して
その組織にとって、
必要不可欠な存在になることでしたね。
仕事
前回、社員を幸せにする人事制度として、
人事評価制度について説明しました。

今回は、この人事評価制度以外にも
社員を幸せにすることが出来る

・人材の価値を認めるための「職能資格等級制度」
・会社が人材に求める力量を設定し育成していく「力量到達制度」
・人材の価値・力量を賃金に反映させる「賃金制度」

について、説明していきましょう。
解説
まず、
人材の価値を認めるための「職能資格等級制度」です。

「職能資格等級制度」とは、
社員の保有している力量等を等級ごとに区分けする制度です。

例えば、全6等級の「職能資格等級制度」の場合、
最上級の6等級は、
組織の中で一番高い力量等を保有していることになり
一番下の1等級は、
未経験人材が入社して2,3年までの保有力量等を
明確にするのです。
等級
誤解しないでいただきたいのは、
この「職能資格等級制度」の
等級に示された力量等は、
社員が保有している力量等であり、
発揮した力量等ではないということ。

発揮した力量や能力は、
「人事評価制度」で認めるのです。

この社員が保有している力量等を
等級ごとに明確にした「職能資格等級制度」は、
どのように使うのか?
考える
まずは、社員を持っている力量ごとに
等級格付けして、自身の保有力量等を認識してもらうのです。
このことは、言い換えると
社員が保有している力量等と認める制度となります。

そう! 社員の価値を認める制度なのです。

そして、現状2等級の社員は、
上位等級である3等級を目指すことになるのです。

そこで、現状2等級の社員である
佐藤さんが「職能資格等級表」の3等級の内容を確認すると、
自分が3等級になるために身につけなくてはならない力量等が
規定してあるのです。

例えば、土木建設業者の工事部の「職能資格等級表」の場合、
3等級の身につけるべき力量の一つとして
「3000万円までの施工計画書が作成できる」と。

そこで、佐藤さんは、
その力量をクリアするために努力する内容を理解できます。

これが、いわゆる会社から佐藤さんへの
「要求力量のハードル」の一つですね。

これが、大企業や一般的な「職能資格等級表」の場合、
「発注担当者が納得する納品文書が作成できる」と
規定してあるのです。

「納得する納品文書」って、どんな文書ですか?
理解できませんね。

まだ、この内容はマシな方で、
多くの「職能資格等級表」には、
「部下の手本となる文書が作成できる」と
規定してあるのです。

余計に理解できませんね。

このようなあいまいな「職能資格等級表」を
中小企業が策定してはダメなのです。
バツ
いいですか!
人事制度・人事評価制度における
「職能資格等級表」の各項目は、
「要求力量のハードル」なのです。

その「ハードル」が
ぼやけていたり、理解できなければ、
明確な「ハードル」とはならないのです。

あなたの会社では、
ぜひ、等級ごとに明確な
社員が身につけるべき力量・技量・資格等を規定してください。
ハードル
次に
会社が人材に求める力量を設定し育成していく「力量到達制度」

「力量到達制度」

聞きなれない名称ですね。

そもそも、この「力量到達制度」は、
策定した原因があります。

某企業では、
人材採用は順調にできているのですが、
採用した人材のほとんどが、
半年以内に退職してしまうのです。
特に未経験人材は、例外なく退職します。
退職
これでは、ザルに水を汲み入れているみたいで
非常にもったいない状況です。

せっかく採用した未経験人材が退職してしまう。

これは、企業にとっても大問題です。

採用には、膨大な広告費、
面接に費やす手間、費用が発生しており、
極論いうと未経験人材は、教育の手間が膨大なので
最初の半年間は、
居るより、居ないほうがマシなのです。

そして、何よりも精神的落胆。

「また、辞めてしまうのか」という。
落ち込む
すべてのことに原因があります。

せっかく採用した未経験人材が半年以内に退職してしまうことにも
必ず原因があります。

私たちは、マネジメントシステムの専門家ですから
要は、原因追及の専門家なのです。

その専門家をもってしても
未経験人材が半年以内に退職してしまう原因追及は困難でした。
なぜなら、退職原因については、
退職する本人に聞き取ることが一番なのですが、
その退職者が口をつぐんでしまうので
聞き取りができないのです。
聞けない
ただ、ある会話を思いつき、
その会話から、退職を申し出た人材の退職理由を
訊きだすことに成功しました。

その後の退職者申し出者も同様の会話から
退職理由を聞きだすことができ、
なんと、退職理由のほとんどが同じだったのです。

その退職理由とは、
「〇年後の自分の姿が見えない」
です。
悩む
この会社は、少々職人系の職種でしたので、
未経験者が入社した場合、
その入社人材は、
「一人前になるのに〇年くらいかかるな」と
推察して入社し、
実際に面接では、
「〇年くらいで一人前になれます」と伝えているのです。

にもかかわらず、
「〇年後の自分の姿が見えない」
です。

そして、不安になり、先輩などに
「私は、一人前になるのに何年くらいかかりますか?」と
質問すると、その回答の多くは、
「君次第じゃない?」とあいまいな回答をします。

「君次第」とは、正しい日本語に訳すと
「当社は人材育成の仕組みのノウハウもないので、あなたが一人で努力しなさい」
という言ことになるのです。
面談
そんな会社に長く勤めたいですか?

そして、稀に、一人前になるためにはどれくらい必要なのかを
回答してくれる先輩もいますが、
その先輩は、自分の仕事の価値を高めて伝えたいので
通常一人前になるために必要な年数よりも多めにいうのです。

例えば、一人前になるために3年必要な場合、
6年と回答してしまうのです。

以上のようなことを打破するために策定されたのが
「力量到達制度」です。
ポイント
「力量到達制度」は、
入社初日、一週間後、一か月後、三か月後、半年後、
一年後、二年後、三年後、四年後、五年後の
身につけるべき力量・技量・資格、
要するに
その人材の力量の到達点を明確に規定し、
それに到達したのかを測る制度なのです。

そして、その到達に応じた給与額を規定する場合もあります。

当該企業は、
この「力量到達制度」により、
採用人材の離職率が激減したのです。

ぜひ、あなたの会社でも導入を検討してはいかがですか?

次回は、
人材の価値・力量を賃金に反映させる「賃金制度」
について、説明します。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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執筆者 山本昌幸プロフィール:
人事制度(人事評価制度、賃金制度)指導歴28年超の専門家、特定社会保険労務士。「人事制度(人事評価制度・賃金制度)セミナー・勉強会」の講師を180回以上務め、社長・経営層の延べ受講生1900名以上。
自らの約10名の従業員を雇用する組織の経営者。
商業出版書籍
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