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今日のテーマは、人事制度・人事評価制度(人事考課)ともかかわりの深い「診断」と「マネジメントシステム審査」の違いについてです。
「診断」とは、中小企業診断士が実施している「診断」ということではなく、一般的な「診断」についてです。
そして、「マネジメントシステム審査」とは、私が25年以上、専門的に実施している審査のことです。
今日の内容は、あくまで、私の考え方であることを断っておきますね。
一般的に「診断」とは、その時の状態を確認することでしょう。
イメージ的には、大根をスパッと切って、断面を確認するイメージです。
目的としては、その時の状況を把握するためです。
対して、「マネジメントシステム審査」についてです。
これは、一般的な「審査」ではなく、「マネジメントシステム審査」についてです。
「マネジメントシステム審査」とは、「診断」のように、その時、瞬間の状況を確認するだけではなく、その時、瞬間の事象を捉えて、「その前」と「その後」のことも確認しなくてはなりません。
これを私は、「根拠と展開」と表現しています。
捉えた「事象」の根拠は何か?
捉えた「事象」の展開はどうなったのか?
これが非常に重要なのです。
これが、「マネジメントシステム審査」で要求されていることなのですが、ダメなマネジメントシステム審査員は、「診断」に終始してしまうのです。
具体的には、○× や Yes No の審査をしてしまう。
「チェックシート」にチェックを入れるだけの審査をしてしまう。
これは、安全パトロールでも同じことが言えます。
私が「マネジメントシステム審査」を実施する多くの組織では、安全パトロールを実施しているのでその記録を膨大な数確認してきましたが、殆どが、チェック項目にチェックが居れてあるだけの「安全パトロール」の記録なのです。
これでは、効果は限定的でしょう。
では、ダメな○×やチェックするだけの「マネジメントシステム審査」に対して優良な「マネジメントシステム審査」とはどのようなものなのでしょうか?
人事評価制度とも関連が深いので次の内容をよく考えてみてください。
[ダメな審査事例]
審査員:内部監査員教育の記録を見せてください
受審側:ハイこれです。
審査員:日付、参加者、内容等が記載されているので大丈夫ですね。
このような審査は、まさに、教育の記録があるのか?無いのか?の確認に終始しておりあまり意味がありません。
能力の低いマネジメントシステム審査員は、このような審査に終始しています。
[良い審査事例]
審査員:内部監査員教育の記録を見せてください
受審側:ハイこれが「教育訓練記録」です。
審査員:この教育を担当した講師の力量の根拠は何ですか?
受審側:審査実績が100回以上ある主任審査員で、
内部監査員講習の講師歴も20回以上あります。
審査員:内部監査員講習の講師の力量としては十分ですね。
では、この記録に記載されている受講生である
○○さんは、その後実施された内部監査を担当しましたか?
受審側:二週間後に実施した内部監査で、
主任監査員の下で監査を担当しました。
このやり取りのキモがわかりますか?
これは人事評価制度においても重要な着眼点です。
まず、捉えた事象は、内部監査員研修を実施したことでありそのエビデンス(証拠)として、「教育訓練記録」があるわけです。
この事象から遡る(根拠:その前)と未来(展開:その後)が必要なわけです。
審査員は、遡る(根拠:その前)の確認事項として講師の力量を確認しています。
いくらウン十時間研修を受講したところで力量の無い講師から習ったところで意味がありません。
その点から、講師の力量の裏付けを確認したのです。
他にも次のような確認事項が想定されます。
・教育訓練計画は存在したのか?
・教育訓練のニーズは?
次に未来(展開:その後)として、内部監査員研修で身につけた力量を活用したのかを確認していますね。
そして、いきなり一人で内部監査を担当したのではなく主審監査員の下で監査員デビューしたことを確認しています。
これが重要なのです。
他にも次のような確認事項が想定されます。
・内部監査ではどのような指摘事項を検出したのか?
・指摘事項の文章作成の出来は?
これが、捉えた事象の「その前」と「その後」を確認するということで、単なる、チェックに終始する「診断」とは違うのです。
中小企業診断士の「診断」は、診断後にどのように改善するのか、対策を施すのかを決定することが目的ですから「診断」が活きてくるのです。
ただ、このような「診断」ではなく、ただ単に白黒つけるだけの「診断」は、あまり意味がないというか、「チェックシート」さえあれば、誰でもできることなのです。
人事評価制度においても、例えば、1/1~12/31の一年間の人事評価で、12/31に評価を行う場合、12/31時点だけの状況の評価では問題でしょう。
成果だけを評価する、成果主義の人事評価制度であれば、最後の評価となりますが、それは、欠陥のある人事評価制度(人事考課)といえます。
その場で終わる「診断」と「マネジメントシステム審査」の違いが判りましたでしょうか。