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前回は、「この人材を採用したい!と思ったのはあなただけではない」について説明しました。
今回は、人事評価制度(人事考課)の話題に戻って、「評価されているのは部下だけではない!」について説明します。
この「評価されているのは部下だけではない!」は、あのバカバカしい仕組みの多面評価や360度評価のことではありません。
「バカバカしい」は少し言い過ぎでしたね。
・陰、日向(かげひなた)
・ウラオモテ
のありそうな人材や職務態度を評価する場合は、多面評価も有益な場合もありますので。
ただ、一般的には必要と思われている多面評価や360度評価も「カンタンすぎる人事評価制度」では、不要ということでしたね。
では、「評価されているのは部下だけではない!」について説明しましょう。
優秀な部下ややる気のある人材ほど上司を測っています。
要するに、
・この上司はどれくらいできる人なのか?
・この上司は力量や能力はどれくらい持っているのか?
などを測っています。
そう!
部下があなたを評価しているのです。
そして、部下からあなたへの評価結果が思わしくない場合、次のいずれかの行動を取ります。
・転職する
・言われたことだけを処理する人材となる
また、上司や社長を「ダメだな」と評価しても会社自体に対して魅力がある場合、配置転換や異動を申し出ます。
この場合、組織にとって一番の損失は、優秀な人材が流出してしまう「転職」です。
私は、常に顧客企業に対して、従業員が退職する際、必ず退職理由を訊くようにお願いしています。
ただ、なかなか退職理由の本音を言ってくれないのが現状です。
そんな中でも、仕組みや設備の問題点は比較的伝えられやすいのですが、
人的な問題点は伝えられにくいのです。
例えば、退職理由として、
・人事評価制度が無いため自分が何を評価されているのかわからない
・人事評価制度が無いため、自分が求められていることがわからない
・使用設備が危険なので事故にあいたくない
・トイレが汚いので
などは、比較的伝えやすいのです。
しかし、
・社長の能力が低いので
・上司の力量に疑問があるので
とは、なかなか伝えにくいですよね。
もちろん、そのような伝えにくいことでも訊く方法はあるのですが、これはまたの機会に。
ですから、あなたの組織で
・退職者が多い
・やる気のない従業員が多い
という状態が続いているようであれば社長であるあなた自身に目を向けてみてください。
また、社長であるあなたの片腕・右腕・№2・後継者に問題が無いのかを鳥瞰してみてください。
逆に、優秀で前向きな従業員がたくさんいる組織や長期間勤務してくれている組織は、社長に非常に魅力があるか、その上司に魅力がある場合です。
この場合の「魅力」とは、人間的な魅力はもちろん、能力、技量、力量に長けているということです。
1200回以上もマネジメントシステム審査を担当し、様々な社長をお話ししていますと、決して褒められない社長にも遭遇します。
そのような社長が運営している組織の場合、何らかの問題が発生しています。ただ、その問題が慢性化しており、問題と認識されていないのです。
もちろん、そのような組織に人事評価制度(人事考課)はありません。
そのような社長に問題がある組織であれば、従業員は社長を評価して、退職していくのが一般的ですが、長期間勤務している場合もあります。
なぜなのか?と不思議に思うこともありますがそのような企業は、今流行りの「ゆるブラック企業」の仲間なのですね。
「ゆるブラック企業」とは、従業員にとって残業もそれほど多くなく、仕事もあまりきつくなく、給料も高くはないのですが、自分自身もスキルアップできずに、そのうち、10年、20年、30年経過しゆでガエル状態に陥ってしまう企業のことです。
確かに、そのような会社の社長は人間的にクセがあり、褒められない人格なのですが、会社としては前述の通りなのでヤル気の無い従業員にとっては、取り立てて退職する理由もないのです。
話は少しそれてしまいましたが、社長や上司は、常に従業員から評価されていることを理解していてください。