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ここ最近人事評価制度(人事考課)に立ち返って、一般的な人事評価制度への問題点・不満と「カンタンすぎる人事評価制度」の相違点を考えてみました。
今回もその続きです。
一般的な人事評価制度の問題点 その9:成果だけを評価している。
ここ数年、「成果主義賃金」の問題点が話題になっていますが私は、「成果主義賃金」が悪いとは思っていません。
悪いのは、成果 だけ を評価することです。
なぜ、成果 だけ を評価することがダメなのでしょうか?
セ化だけを評価することにより、成果さえ出していれば問題ないという組織風土になります。
それは、とても殺伐とした組織風土なのです。
人材は、成果に結びつかないような作業を担当することは嫌がります。
なにか作業を依頼した場合でも「それが、どのような成果に結びつくのか?」言い換えると「その作業は自分にとって得があるのか?」という着眼点で判断するようになります。
これは100%悪いとは言いませんが、あまり良くない組織風土としてあなたも想像がつきますよね。
考えてみてください。
作業を部下に依頼したとき、「それは私にとって得する作業ですか?」「その作業は僕にとって利益あるのですか?」。
もちろん、このようにあからさまに訊くヒトは居ないかもしれませんが、つねにこのような損得勘定で仕事をすることになるのです。
考えただけでも勘弁してほしいですよね。
雑用とかを一切しないのですよ。
雑用も仕事の一部として非常に重要なのです。
もちろん、不要な雑用もありますが必要な雑用も多いのです。
誰かがやらなくてはならないのが雑用なのです。
雑用に限ったことだけではなく、成果にダイレクトに結びつかない作業ってありますよね。
そして、そのような作業こそ重要な場合があるのです。
以上が成果主義賃金の問題点である、成果「だけ」を評価することです。
では、どのようにすればよいのでしょうか?
一番簡単なことは、成果にダイレクトに結びつかないような作業について評価制度の対象とすることです。
本来、成果とは、このように成果にダイレクトに結びつかない作業がたくさんあり、その作業を積み重ねることによりポコっと成果が顔を出すのです。
そのポコッと顔を出した成果だけを分捕っていく人材が居たとしたらどうなのでしょうか?
まさに「天誅!」ですね。
そのような人材にはお引き取り願いたい。
ただ、そのような人材をのさばらせるのが成果だけを評価する賃金制度であり、人事評価制度(人事考課)なのです。
ですから、人事評価制度(人事考課)の評価項目には、二種類必要なことを理解してください。
二種類とは、
・プロセス評価項目
・成果評価項目
です。
では、「プロセス評価項目」とはどういうことでしょうか?
もう少しわかりやすく説明しますと、「成果に結びつくプロセスの実施を評価する項目」ということになります。
たとえば、次の評価項目はどうでしょうか?
・売り上げを対前年比10%アップ
これは、成果評価項目ですね。
対して、売り上げを対前年比10%アップさせるために取り組むべきことがプロセス評価項目なのです。
具体的には、売上を対前年比10%アップさせるために毎月20件の飛び込み訪問を行う などです。
他にも成果を手に入れるためのプロセスがいくつも考えられます。
そこを評価すべきなのです。
これは、まさに「できた」ではなく「できる」を実現するための手段と言えます。
「できた」は、たまたま出来たので、再現性が乏しいのです。
「できる」は、適切な計画の下に「できる」のです。
その計画と実行が「プロセス」なのです。
ですから、適切な計画の下に実行することで成功の再現性が高くなるのです。
いかがですか?
成果だけの評価が如何に愚かなことなのかわかりましたが?
成果に至るプロセスが如何に重要なのか。
すべてのことはプロセス有っての成果だということを肝に銘じていただきたい。
成功も失敗もそれに至るプロセスが存在しており、成功の要因であるプロセスを管理することにより成功の再現の可能性が高まり、失敗の原因であるプロセスを明確にして、適切に修正や除去することで失敗の再発を防ぐことができるのです。
これこそがマネジメントシステムのコア(芯)となる考え方なのです。
マネジメントシステム=PDCAではないのです。
以前、拙著でやみくもにPDCAだけ回しても成果は出ないことを説明しました。
適切なプロセス管理を行うことでPDCAを廻さなくてはならないのです。
ですから、人事制度や人事評価制度(人事考課)を策定するにあたり、プロセス管理の重要性を理解しているか否か。
いや、プロセスという概念を理解していることが非常に重要なのです。
人事制度の指導者に求めるべきことではないのかもしれませんが(畑違いなので)、私見としては、プロセス管理の重要性を理解せずに人事制度・人事評価制度(人事考課)を指導することは非常にリスクが高いと思えます。
さらに欲を言えば、「プロセスアプローチ」の理解が必須です。
「カンタンすぎる人事評価制度」は、プロセス評価項目を策定していきますので
ご安心ください。