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前回は、人事評価制度を策定する指導者・コンサルタントとして社会保険労務士の資格は必要なのか? について説明しました。
今回は「人事評価制度」ではなく「人事制度」を策定するうえで社会保険労務士の資格は必要なのか? を考えてみましょう。
以前も説明したように一般的に「人事制度」は次の4つの仕組みで構成されています。
・人事評価制度
・能力開発制度
・給与制度(賃金制度)
・職能資格等級制度
(呼称は、組織や指導者により異なります)
「カンタンすぎる人事評価制度」は、上記4つの仕組みのうちの
・人事評価制度
・能力開発制度
といえます。
で、問題は、「給与制度(賃金制度)」です。
通常、「給与制度(賃金制度)」という仕組みを策定する場合、「給与規程」や「賃金規程」を策定しますね。
これが、問題なのです。
「給与規程」「賃金規程」は、「就業規則」の一部なのです。
「就業規則」の策定は社会保険労務士の独占業務ですからその一部である、「給与規程」「賃金規程」等、名称の如何を問わず、賃金の決定方法等を規定した文書を報酬を得て作成できるのは、社会保険労務士だけなのです。
社会保険労務士以外に、「給与規程」「賃金規程」の策定を報酬を支払い依頼している場合(報酬の名称の如何を問わず)、あなたの会社は法令違反に加担している可能性が高いのです。
まさにコンプライアンスに引っかかるのです。
ですから、社会保険労務士の資格を保有していないコンサルタントに賃金制度の策定を依頼する場合は、注意が必要です。
確かに、様々な抜け道的なことは可能ですが、どこから視ても、法的に問題がないようにしておくべきでしょう。
社会保険労務士の資格を保有していないコンサルタントに賃金制度の策定を依頼する場合はあなたの会社の顧問社会保険労務士にも参画していただくと良いと思います。
わが国には、「士業」という、様々な専門職があり、その資格保持者でなくては、出来ない業務があります。
これらの業務の中には、「業際問題」といって、どちらの士業の業務なのか疑義が生じている場合があります。
以下、私見ではありますが、どちらの業務かあいまいな業際に係わる業務に就いては、私は、次のスタンスで業務処理しています。
1:その業務には手を付けない
2:必要な資格を取得する
例えば、「2」の場合、常時雇用する人数が10名未満の事業場の「就業規則」は、行政書士でも報酬を得て作成することが可能と主張する行政書士がいらっしゃいますが、(厚生労働省は、社会保険労務士の独占業務との見解)そのような主張する前に、社会保険労務士の資格を取得すればよいのです。
社会保険労務士の資格を取得すれば、何ら問題が無いのです。
このような不毛な争いを視ていると本当に呆れてしまいます。
なぜ、呆れてしまうのかというと顧客目線になっていないからです。
顧客のことを考えれば、何が一番、ベストなのか判断できますよね。
このような業際問題に関わる業務をあえて処理しなくても、自分によって専門的な業務を処理していけばよいのです。
と、まぁ、少し偉そうなことを書いてしまいましたが、このような心境になれたのは、この10年くらいでしょうか。
自分にとって、誰にも負けない! と思える専門分野がいくつかでき、その専門分野の業務にお客様がついてくれたからこそ主張できる意見なのかもしれません。
以前、殆どの士業は仕事を断らないことを書いたと思いますが、業務処理に自信がない場合でも業務を受託してしまう士業がなんと多いことか。
もちろん、依頼する側の了解を得ているのであれば構いませんが、自信がない業務をあえて、自信があるふりをして受託するのはいかがなものでしょうか。
確かに法令では、仕事を断ってはいけない旨の規程は存在しますが、その意味は少々異なり、医者が診察を断ってはいけないと同様と捉えるべきです。
医者であっても、盲腸の手術の経験が一回もない眼科医でしたが断るべきです。
お客様=クライアント ですから、お客様は、守るべき対象だと思うのです。
では、自分は、その分野についてお客様を守ることができるのか?
これは、非常に思いテーマですが、安易に挑戦することがベストとは言えないことをご理解いただけると思います。
私も一通り知識があったとしても自信をもって提供できない指導は、きっぱりとお断りしています。
もちろん、自身がある分野であっても好きな分野、嫌いな分野、ラクな分野、大変な分野 があります。
私にとって、一般的な人事評価制度の指導は、嫌いな分野の、ラクな分野です。
「カンタンすぎる人事評価制度」は、嫌いな分野の、大変な分野なのです。
ただ、「カンタンすぎる人事評価制度」は、非常にやりがいのあるコンサルティングですから、好きなのかもしれません。