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今回は、人事評価制度を策定する指導者・コンサルタントとして社会保険労務士の資格は必要なのか?
について考えてみましょう。
これについては、意見はいろいろあるとは思うのですが、「カンタンすぎる人事評価制度」について考えてみると「カンタンすぎる人事評価制度」を指導するうえで、私自身、社会保険労務士であることを意識したことはありません。(私も一応、社会保険労務士なのです・・・)
要するに、社会保険労務士としての知識で「カンタンすぎる人事評価制度」を策定するのではありません。
また、社会保険労務士として「カンタンすぎる人事評価制度」を開発したのでもありません。
私は、
・1600回を超えるマネジメントシステムの審査経験
(2名から数万人規模の組織に対する審査経験)
・1000人以上の社長からのインタビュー経験
・マネジメントシステムの専門家としての知識
を基に「カンタンすぎる人事評価制度」を開発しました。
もちろん、1000人以上の社長の中には、社会保険労務士として接した社長さんも含まれては居ますが数としては多くはありません。
一つ注意ですが、1000人以上の社長からのインタビューとは、最低でも30分以上の会話のキャッチボールをした社長さんの数です。
決して、セミナー出席者や、単に何かの質問をされた社長の数は含まれておりません。
と、なると、「カンタンすぎる人事評価制度」では、社会保険労務士としての知識は不要なのかもしれないと、考えるのは行き過ぎで、確かに社会保険労務士としての知識が活かされる場面も多々あるのです。
例えば、二重懲戒。
社会保険労務士であれば、当たり前に保有している知識ですが、一般の人事制度コンサルでは「えっ?なんのこと?」と仰られる場合もあります。
評価項目の中に二重懲戒になるような内容を策定しては専門家とは言えませんし、何といっても、コンプライアンス上問題のある人事評価制度を策定することになります。
この、「コンプライアンス上問題のある人事評価制度」は非常に危険です。
私も様々な企業で導入されているものすごい数の人事評価制度を拝見させていただいてきましたが(ごめんなさい。これは、数を数えていませんでした)その中には、明らかに法的に問題のある内容の人事評価制度項目もありました。
たとえば、
「自主的に勉強会に参加する」という内容。(自主的とは、残業代が支払われない)
一概に真っ黒!とは言えませんが、人事評価制度の評価項目として、会社として、高評価の要因として勉強会に参加することを推奨しているのであれば、それは、かなりの強制力を伴っていると判断される可能性があります。
確かに、社長からすると本人の能力を伸ばすために、会社が外部講師や内部講師による勉強させる機会を従業員に与え、それで、給料ももらえるなんて甘すぎる!
という気持ちも、痛いほどわかります。
しかし、勉強会も飲み会も運動会も強制参加であれば、業務とみなされるのです。
もし、ケガをしたら労災なのです。
ここまで書いて気付いたのですが、こんな話をできるのも、私が社会保険労務士だからなのです。
ですから、人事評価制度の策定を指導するコンサルタントとしては社会保険労務士の資格は保有していた方がよさそうですね。
人事評価制度(人事考課)を策定するうえで法令上問題のある(コンプライアンス上問題のある)人事評価制度(人事考課)を策定してしまうことは何としても避けなくてはなりません。
ですから、人事評価制度(人事考課)の策定を指導するコンサルタントが社会保険労務士の資格を保有していなくても社会保険労務士に一部加わっていただくことをお勧めします。
(コンサルタントが社会保険労務士を保有していない場合)
では、社会保険労務士が人事評価制度(人事考課)の導入指導をできれば一番良いのですが、社会保険労務士の中でも、専門的に人事評価制度(人事考課)の導入指導を生業とされている方は少数派なので巡り合うことはなかなか難しいのかもしれません。
過去に導入したことがあるという社会保険労務士の方は散見されますが。
ただ、社会保険労務士という資格、いや、職業は様々な業務範囲がありますので、様々な分野におけるエキスパートが存在していることも事実です。
逆に何でもできる社会保険労務士というのは、虻蜂取らず の可能性もあることをご認識ください。
私の周りでも○○についてのエキスパート社会保険労務士がたくさんいらっしゃいます。
やはり、自社の問題を解決してもらいたい場合や、何かあたらいいことを導入する場合は、エキスパートに依頼したいものです。
このエキスパートとはその分野にとても深い知識がある専門家のことですが、半面、何かを捨てた方なのです。
実際、私も社会保険労務士ですが、殆どの社会保険労務士ができる作業である「離職票」の作成は出来ません。
もちろん、マニュアル等を視れば思い出しますし、作成できますが、そのような作業をする必要が無いので忘れてしまいまいました(捨てました)。
その代わり、他の社会保険労務士にはない、専門知識をいくつか保有しております。
「カンタンすぎる人事評価制度」を開発できたのもその知識のおかげなのです。
次回は、人事評価制度ではなく、人事制度の策定で社会保険労務士の資格は必要なのか?を考えてみます。